飲食店ではその労働力の多くは社員、アルバイトさんなどのスタッフによって成り立っていると思います。
ただ、そんな中でも店長、オーナーさんが店一番の労働力という店舗も多くあるのではないでしょうか。
利益を上げるためにも自分が働くという気持ちが大きいのだと思いますが、視点を変えてできる仕事は社員、アルバイトさんに振るということをしてみてはいかがでしょうか。
採用、教育の労力を節約しよう
面接に関しては店長、オーナーさんがやるべきであると思います。
ただ、採用候補の選択はスタッフさんでもできます。
どういうことかというと、自分の周りの友人などを紹介してもらうということです。信頼しているスタッフの紹介であれば面接は形式上行いますが、まず採用してまちがいないでしょう。また、お客様の中から素晴らしい笑顔の方をスタッフさんが発掘、スカウトして了承が得られれば面接を行うという仕組みです。
一般的には店頭の貼紙や募集媒体を利用しますよね。どの媒体にするのか、どれくらいの枠にするのか、どういった条件にするのか、掲載写真はどれにしようか、など検討する項目は多々あります。
そして、掲載されれば問い合わせの電話応対、面接の日時設定、合否の連絡などまたやることがあります。
私も一時期は募集媒体を利用していましたが、次第に上記のような方法で採用を進めることにしました。
メリットは費用がかからないこと、素晴らしいスタッフの意識が浸透しやすかったことが大きいです。
また、募集媒体で一番ネックであったことは、5名採用したいと思って募集掲載をした際、10名の応募があったとすると、この中から意地でも5名決めなければならないという意識に駆られてしまうことです。
採用したいと思う人材が3名だったとすると、残り2名は惰性で採用しなければないというのはリスクです。
こう言った制度をスタッフさんに振ることで解消されました。
トレーニングも同様です。初期トレーニングをできる子を数名育てることに注力してはいないでしょうか。それよりも、トレーニングをできる子を育てられる人材を育てるんです。
ちょっとわかりづらいかもしれませんが、トレーニングはみんな受けているので教わったことをアウトプットするだけなので思い出しながらでもなんとかできるんです。それを踏まえた上で、トレーニングをフォローしてあげられる人材を育てます。
こうすることで、トレーニングをする子はトレーニングができたという自信を持ち、トレーニングをフォローする人材は自分の仕事をこなしつつフォローまでできたという自信を持てます。
店長のやることは、その成長をしっかり確認し、承認すること。です。
これだけで、店長の労働時間はかなり削減できると思います。
仕事を振るために使うべき言葉
仕事をスタッフさんに振る。これが苦手な方もいますよね。
私もそうでした。「えー」って言われたらどうしよう。とか「無理です」と断られたらどうしようとか。
でも、しっかりと伝えることでそれは解決できます。
もちろん仕事を振る相手は誰でもいいという訳ではないと思います。なので、それを素直に伝えることが大事なのです。
「◯◯さん、今度この仕事をお願いしたいんだけど、僕は君ならできると思っているんだけどやってみてくれないかな、もちろんサポートはしっかりやるよ」
とか「〇〇さん、僕のやっているあの仕事、今度スタッフさんにお願いしようと思っているんだけど、これができる人って考えると君しか思い浮かばないんだ。お願いできないかな。」
とか。相手に依存するような形でお願いをしていました。「君ならできる」「君にしかできない」というフレーズは結構反則気味に相手に刺さります。もちろんそれまでのお互いの関係性が大きく影響しますので、そこは前提条件です。
相手を認めた上で、自分はあなたにやって欲しいんだという思いを素直に伝えることが大事なんです。店長としてのプライドが邪魔をしているのであれば、そこには何も価値もありませんので今すぐ捨てて信頼関係を気付きましょう。
獲得した時間の使い方
自分の時間を作ることを目的に仕事を振るというテーマでお伝えしていますが、それでも「自分がやったほうが早いから」とか、この仕組み作りの過程でかかる人件費を回収できるかどうか・・・などの理由で踏み出せていない方もいると思います。
獲得した時間は積極的に店舗の売上対策や分析、評価などの業務を行うといいでしょう。
日々の仕事に追われ、目の前の売上しか見えなくなった先に待っているのは徐々にくる売上の減少です。
でも必死に働いているから気づかないんです。
気づいたとしてもこれだけ一生懸命働いているのに売上が落ちてるなんて思いたくないから、一時的なものだと思い込んでしっかりと分析をしないんです。
更に言えば、疲弊した脳で考える内容というのはコンディションの良い時と比較すると格段に判断力が落ちてしまいます。
トレーニングや採用、まして接客、専門的でない調理やドリンク作成などはしっかりとお客様に喜んでもらおうという文化が根付いている店舗ではスタッフさんが全てできます。
しかし、お店の数字を集計し、分析し、何をするべきかを考えることは店長、オーナーさんでなければできないことです。
店長はそこで能力を発揮するべきです。
何をしたらいいか思い浮かばなければ、スタッフミーティングを行って知恵を借りましょう。
そして感謝をしてください。
お店の客数が増える、追加注文を上手に取ることで客単価が上がる、そうすることで売上は上がります。売上が上がればスタッフへの感謝を言葉だけでなく時給アップという形でも還元することができます。
こういった良い風習を循環させることで、スタッフ、店長、お客様にとっても素晴らしい店舗が出来上がります。
そのためにもどんどん仕事を振って店長、オーナーさんは次の一手をどうするかを考える時間に使いましょう。
自分の経験にも影響する強固な店舗作り
会社によっては店長の上にエリアマネージャーやSVのような役職もあると思います。そういった企業で店長をされている方は当然その役職を担いたいと思っているでしょう。
では、そのポジションに就かせるべき人材は次のどちらが相応しいと思いますか?
1、バリバリ自分が働き高い生産性を出す。効率追求型の店長
2、利益率は1に劣るがスタッフが生き生きと働き、お客様満足度も従業員満足度も高い店舗の店長
もちろん2ですよね。
うちは結果至上主義だからそんなことない。と思っている方もいるでしょうが、私が社長であれば1のような店長は店長として重宝したいと思います。
1の店長をエリアマネージャーにしたとして、その能力はどのように発揮されるか、検討がつきません。しかし2の店長の場合、そのスタッフに向けていたノウハウを店長に向けるだけで同様の効果が数店舗で得られるであろうと判断できます。
また、20代であれば1のような働き方でも頑張れますが、30代、40代、50代とずっとこのような働き方はできるでしょうか。
1には利益の捻出という経験は得られますが、店舗としての成功体験を得ることはできません。
2は人を認め、感謝をし、店舗を盛り上げるという素晴らしい経験とそれを強固な文化にした店舗を作るという成功体験を得られます。
同じ期間働いた場合この得られるものの違いが個人の能力の差として出てくることはお分かりいただけるでしょう。
この長引くコロナ禍で今が苦しい、余計な費用を使えないという店舗も多いでしょう。
しかし、コロナ禍が収まれば元に戻るという保証はどこにもありません。ある程度お客様が戻ってきた時、お客様はこれだけ長期間自粛していたということは、行きつけのお店をリセットされている可能性も高いです。つまり、ここで店長の意識が変わればお店が変わり、新規のお客様を取り込むチャンスがあるということです。
厳しい期間が続いていますが、前向きにお客様とスタッフのために頑張りましょう。
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