東京都世田谷区で飲食店のコンサルティングをしている株式会社ヒューリンクです。
不定期ではありますが、飲食店を経営されている方から寄せられるお悩みを共有し、皆様のお役に立てたらと思いブログ発信をしております。
さて、今回はアルバイトさんのシフト管理に関する情報となります。
飲食店ではほとんどの店舗がアルバイトさんの労働力で成り立っていると思います。
そんなアルバイトさんのシフトスケジュールはどのように決定しているでしょうか。また、決定後に変更がある場合はどのように行っているでしょうか。
シフトの確定日時を明確にしましょう
多くの店舗では固定ではなくシフト制を採用していると思います。
まず注意するべき点は、シフト確定日を定めることです。
例えば週間であれば毎週木曜の18時とか。半月であれば5日と20日とか。言わなくてもそうしているとは思いますが、問題はその確定日を必ず守ることです。
実際にご相談をいただいた店舗様の事例をお伝えしますと、シフト確定日に店舗に確認に来たアルバイトさんがいました。
しかしその週は店長さんの手が空かずシフト作成がまだできていませんでした。アルバイトさんには「明日まで待ってくれ」と伝えたそうです。
そのアルバイトさんはその時「まだ作っていないのなら◯日は出勤にしたのですが休みにしてもらえませんか?」と伝えました。
店長さんは「もう提出は締め切っているからそれはできない」と断ったそうです。
すると、そのアルバイトさんは翌月退職を希望してきました。
そして当社に人材採用、育成のご相談をされるという流れでした。
まとめると、そもそも店長さんがシフト作成をする時間を取れないほど人材が不足していた。
それが原因で既存のアルバイトさんにもシフトの確認ができないというしわ寄せができてしまった。
迷惑をかけてしまった上に冷たい対応をしてしまったことで人材が流出してしまった。という流れです。
元々抱えていた人員問題に対してそれを少なからず補ってくれているアルバイトさんへの対応で自ら悪化させてしまったという深刻な状態になっておりました。
ここでの問題は、アルバイトさんにシフトの変更を求められた時に受け入れていれば、、、ではなくそもそもシフトの確定日時を守っていれば、違った対応ができたのではないかという点です。
期限を守ることが前提になっていれば、中々シフトを作成する時間の捻出ができないなと思った時点で人員の採用を検討もできていたのではないかと思います。
シフト確定後に変更を加えたい場合
シフトの確定後に変更を加えたいこともあるかと思います。
例えば台風が接近したとか、イベントによる集客を見込んでいたが思ったほど効果がなかったなどです。
こういった場合、アルバイトさんのシフトを変更したい、日々の人時売上高や営業利益を計算されている店舗は1hでも無駄な労働を削りたいと思うのは店舗管理者なら当然の考えです。
しかし、アルバイトさんもお金を稼ぐために自分の時間を捧げてくれています。
その上で残った自分の時間にそのお金を費やしていることは忘れてはいけません。
まずやるべきことは、変更したいアルバイトさんに事情を説明し、同意を得ること。です。
決して確定後のシフトを勝手に変更などしてはいけません。
基本的には確定後の変更は労働基準法でも認められていません。(15条)
今時労働基準法くらい高校生でも調べられますし、何より法律よりも怖いのはこういった情報の拡散(SNS)です。
チェーン店ではこの拡散により本部へ情報が流れて店長が懲戒処分になった事例もあるくらいですので、たかがシフトの変更とは思わずに慎重に、同意を得た上で変更をするように心がけましょう。
当日のシフトカットも気をつけるポイント
当日に思ったよりお客様が来ない。
特にコロナの影響が未だある地域では集客予想がしにくいというのはよくわかります。
しかし、当日のシフトカットも注意が必要です。
基本的には前項同様、本人との同意が必要となります。
「暇だから上がっていいよ」
と、上から目線でカットして問題になった店舗もありました。
基本的にはカットをしてもアルバイトさんにはカットされた時給の6割を支払わなければならないことは労働基準法に明記されています。(26条)
全ては日頃のアルバイトさんとの信頼関係
先にも述べましたが飲食店の労働力の大半はアルバイトさんで成り立っています。
店長さんによってはこれを理解し「働いてもらっている」という感覚をお持ちの方もいる一方で
「雇ってやってる」といった感覚の方がいるのも事実です。
強引なシフト変更が結果的に人件費を下げるなど良いアウトプットとなるので、その店長が有能と見られる時代もありましたが、近年はその内部事情が情報として公開されやすくなり、一時的に素晴らしいアウトプットを出せたとしてもそのネガティブな情報からその店舗、チェーン店に至っては全国加盟店に損害をもたらしかねないリスクがあります。
そうならないためにも、日頃からアルバイトさんとの信頼関係を築き店舗事情を理解してもらった上で変更を受け入れてもらう。または、その浮いた時間を明日以降の店舗運営を円滑化するための投資として清掃や集客案を出すなど有効に使うといいのではないでしょうか。
労働基準法に関して少し触れましたが、近年は学生さんでも有給の仕組みなど多少なり理解している方が多いです。
労働基準法は基本的に労働者を弱者とし、その弱者を守るための法律ですので、雇用者にとってはデメリットとなるようなものが多いのは必然です。
しかし、知らぬ存ぜぬでは済まないのも事実。今まではそれで良かったかもしれませんが、何かあってからでは取り返しの付かなくなる場合もありますので、事前に店長さんも理解しておくことは大切でしょう。
当社のブログでもこういった知識に関する内容を定期的にお届けしたいと思いますし、ご相談はいつでも承っておりますのでお気軽にお問合せいただければ幸いです。
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